働いているサロン(報酬の支払いをしてくれる個人事業主のオーナーもしくは法人)が課税事業者(一般課税選択)の場合
029業務委託でサロンワークをしている私にインボイスは関係あるの? 第2回
業務委託でサロンワークをしている免税事業者のあなたは課税事業者から報酬を支払ってもらうにあたり、インボイスを登録しなくても影響を受けないケースがあります。
前回、業務委託でサロンワークをしている免税事業者の個人事業主・フリーランスはインボイスは無関係ではないかもしれない、というお話をしました。(前回の記事はこちらです。)
前回の記事をお読み頂いた方は、え?どういうこと?影響あるの?ないの?というところだと思いますが、インボイスを登録しないで課税事業者と取引する際、インボイス登録をしなくても影響を受けないケースもあるので解説します。
例えば、次のようなケースはあなたがインボイスを登録しなくてもあなたにとっても課税事業者にとってもどちらかが金銭的に『損する』ということがありません。
- あなたが業務委託契約で働いているサロンでは、あなたが担当したお客様の施術料金をサロンが受け取り、歩合としてサロンからあなたに報酬が支払われている
- あなたは業務委託でサロンワークのみの報酬である(サロンを掛け持ちしていたり、他からの報酬が発生している場合はこのケースには当てはまらない可能性があります。)
- 報酬を支払ってくれるサロンが簡易課税事業者である
前提条件あなたが、今まで税務署に消費税を支払う必要がなかったし、これからも今のところ年間の売上見込みが1,000万円を越えないと思う場合になります。(すなわち、免税事業者のままでいる見込み、ということです。)
※具体的には、今、業務委託でサロンワークだけやっていて、月間報酬60万円(年収720万円)くらいで、今後数年間は、年収1千万円を越えないと思う場合
何故、あなたがインボイスを登録せず、免税事業者のままでいても課税事業者の相手に影響がないと言えるのか?
課税事業者でも、インボイス登録時、簡易課税を選択している場合はインボイスが不要だからです。
インボイスとは売り手(報酬をもらう側)が買い手(報酬を支払う側)に正確な適用税率や消費税額を伝えるものになります。インボイス登録をしている簡易課税事業者はインボイス発行することができますが、実際にはみなし仕入れ率で計算するのでインボイスがなくても問題がないのです。
免税事業者はインボイス登録をして課税事業者にならない限りインボイス発行ができないのですが、簡易課税を選択してインボイス登録している課税事業者から支払いを受ける際にはインボイスが不要で、どちらかに金銭的に負担がかかる、ということもないので取引に影響はないでしょう。
報酬を支払うサロン側がインボイス登録時、簡易課税事業者であったとしても、あなたと業務委託契約期間中にサロンが一般課税事業者になることもありえます。その際はインボイスの影響を受ける可能性があります。具体的な相談は管轄の税務署や税理士にご相談ください。
結論
補足説明
免税事業者
1月から12月までの売上が1,000万円以下の事業者
課税事業者(一般課税選択)
2期前の年間売上1,000万円を超えている事業者で一般課税を選択しているか、若しくは、年間売上(複数店舗経営している場合は全店舗の合計)が5,000万円を超える事業者
課税事業者(簡易課税選択)
2期前の年間売上1,000万円を超えている事業者で年間売上(複数店舗経営している場合は全店舗の合計)が5,000万円以下で簡易課税を選択している事業者
みなし仕入率
簡易課税を選択した際の消費税の算出方法です。事業形態により第1種から第6種までの6つの事業区分に対し税率が40%〜90%に簡易的に設定されています。今回の記事では、税率50%を利用して算出しました。「みなし仕入れ率」について、詳しくは、国税庁のホームページ(No.6509 簡易課税制度の事業区分)をご覧いただくか、管轄の税務署や税理士等にご確認ください。