Independence当初はマツエクサロンと美容系システムのOEMで展開する方向で進めていましたが、縁があって、自社でITシステム開発、ホームページ制作、デザイン・編集・フォトプロダクション、芸能プロダクション、と多岐に渡るようになりました。
事業者の方で経験された方もいらっしゃるかもしれませんが、独立当初はやること・考えることはいっぱいある、資金はあまりない、お客様は少なく暇、という状態でした。
そこで、自分じゃなくてもできることは人に任せた方が良い、という意見もありますし、その通りだと思いますが、費用を抑えたい、ということと、暇なうちに自分で事務ができるようになっておくと、会社が大きくなって他の人にお願いする時やシステムを開発する時に役立ちそうと思い、経理や人事・労務など一通りやってみました。
人がシステムに合わせる使い方ではなく、UI/UXも含め、現場の人が使いやすいシステムでないと意味がない、と考えているため、実際に現場をやってみようと思ったのです。自分でやっていなければ、「法人が、個人のタレント・デザイナー・税理士・弁護士・弁理士などに報酬を支払う時に、10.21%の源泉税を引いて支払う(100万円以下の場合)」みたいな基本的なことも気づかなかったでしょう。
今まで特に事務経験などはありませんでしたが、経営する上では必要なので実際にやってみると、苦ではなく、知識やスキルもついてくるので税理士さんや社労士さんと話す時にスムーズに話しができるようになり、経験して良かったと思えました。
さて、なぜ、マツエクを施術するアイリストの私が一見全く畑違い(異分野)の電子帳簿保存法コンサルタントをやるようになったか、というお話をします。
Turning point2021年末のニュースで「電子帳簿保存法の電子取引」の義務化について初めて知り、びっくりしたのと同時に、現代の商習慣を考慮するとほとんどの事業者が義務化に対応する必要があるけど、事業者のみなさん、知ってるの?という印象を受けました。
電子帳簿保存法とは帳簿・書類の保存方法についての制度なので、当然、私の会社にも関係があるので調べ始めました。もちろん、当初は自社が対応するためで、他の会社のコンサルティングをすることなど考えてもいませんでした。
電子帳簿保存法について調べたり、セミナーなどで話を聞くと、表面的には簡単そうに見えます。実務をやっている当事者としては、なんとなく想像できるし、私も実際、こんなの余裕だし、もうちょい後回しでいっか、と思っていました。分かった気になってしまうんです。
しかし、具体的に運用するのにどうしていくか考えてみると「これは思ったより準備に時間かかるし、余裕こいてる場合じゃないな。」に変わっていきました。
対応する為の必要な要件
- ①税務や経理についてある程度の理解が必要。
- ②電子帳簿保存法の制度についての理解が必要。
- ③システムを使って対応する場合はシステムの特徴を把握する。
- ④運用面では、実質パソコンが使える必要がある。
- ⑤場合によっては業務フローの見直しが必要。
これら5つの要素が1つでも欠けるとちゃんと運用して行くのが難しいということが分かってくるにつれて、対応が簡単でないことが分かってきました。
そして、何よりも、電子帳簿保存法の中でも「電子取引」の区分については1つでも電子取引があると白色申告、青色申告関係なく全事業者が2024年1月から義務化の対象となるんです。ただ保存すれば良いだけではなく、要件を満たして最大10年間保存する必要があるのでこの点も視野に入れる必要が出てきます。
「知らなかった」とか「顧問税理士から何も言われてないから何もしない」とか、そんな事業者の事情は、税務署にとってどうでも良くて、最終的に不利益を被るのは対応をしていない事業者自身になります。
私は、電子帳簿保存法の一問一答を何度も読み、法律施行規則にも目を通し、実際の運用をする時にどうすれば良いかを考え、曖昧なところや矛盾してると感じたことは税務署に直接、何度も確認しています。
更に、代表的なシステムを使った場合の良い点や懸念点をリサーチしたり、新製品や売れているパソコンやプリンター、スキャナ、複合機などについて家電量販店に直接行って詳しい店員に聞いたりしています。ここまで調べると色々分かってきたりします。もはや、電子帳簿保存法ヲタクみたいです。
Presentこれって、税理士さんに相談する案件じゃないの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。私も最初はそのように思っていました。そこで、何人かの税理士さんにもリサーチしてみたところ、電子帳簿保存法まで手が回っていない、ということが分かりました。また、弁護士にも相談しましたが、税理士業務に該当しない範囲では問題ないと言うことでしたので、ご安心ください。
電子帳簿保存法に関する相談は、税理士さんの他、システムを使って対応する場合は、ITコンサルタントが相談にのるケースもあります。
私の場合は、税理士やITコンサルタントとは違った立場と視点で、システム利用の有無に関係なく、お客様の現在の事業規模や将来の成長を考慮して「要件を満たす」ようにアドバイスさせていただきます。特に、データを最大10年間保存しておく必要があるので、目先の問題解決だけに囚われず、10年後を見据えて、お客様の立場でより良い、そして、変化に強い、柔軟なご提案をさせていただきます。
最後に電子帳簿保存法やインボイス制度は、始まったばかりで、誰にとっても同じですが、前例がないのでよく分からないのです。そのような状況の中でも、少なくとも義務化の対応を準備していく必要があります。