028免税事業者とインボイス
インボイスとは『消費税』についてのお話で、売り手(支払われる側)が買い手(支払う側)に対して正しい消費税額、税率を伝えるもので、指定された事項が記載されている請求書、領収書、納品書等のことを指します。
2023年10月1日から開始されるインボイス制度とは『適格請求書等保存方式』と言われています。
あなたは免税事業者で、課税事業者から支払いを受けていますか?
あなたは免税事業者で、あなたの取引先はインボイス登録をしていますか?
もし答えが『はい』か『分からない』ならば、インボイス開始後、何かしらの影響が出る可能性があります。
目次 / CONTENTS
- 免税事業者がインボイスを登録すると、どうなるの?
- 免税事業者が課税事業者になると?
- 免税事業者が免税事業者のままでいると?
- 押さえておきたいポイント
- ・フリーランスや個人事業主の免税事業者
- 補足説明
- ・免税事業者・課税事業者・一般課税・簡易課税・みなし仕入率・仕入税額控除・2割特例
免税事業者がインボイスを登録すると、どうなるの?
「取引先に負担がかかる」ということはなくなりますが、免税事業者側の手取りが減ります。今まで消費税の納付の必要はありませんでしたが、3月に消費税を納付する必要が出てくるため、必要金額を納付できるように計画しておかなければなりません。また、手取りが減る分、取引先と価格交渉をする必要も出てくるかもしれません。
どちらにしても、お互い、バランスの良いところで話をまとめる、という感じでしょうか。
免税事業者が課税事業者になると?
課税事業者になる時に、経費(支払消費税)が多い場合は、概ね、一般課税を選択した方が納税額が低くなる可能性があります。
また、一般課税の事業者になる時、インボイスの登録をしなくても、取引先からインボイスをもらうことができれば、支払税額控除ができます。
しかし、一定の条件に当てはまる事業者で経費(支払消費税)の少ない場合は、簡易課税を選択した方が良い可能性があります。また、その場合、一般課税の事業者と取引がない場合は、インボイス登録をしない方が、一般的に言って事務の負担も軽減されます。
インボイスは、取引先が一般課税の事業者でないと、必要ありません。
免税事業者はこのまま免税事業者でいることもできますし、インボイス登録をし、課税事業者になることもできて、課税事業者になるとインボイスの発行ができるようになります。
受取消費税、支払消費税、取引先との関係、ビジネスモデルなどの状況や事業計画により、一般課税か簡易課税のどちらを選ぶかを判断することをお薦めします。税額に関しては、詳しくは税務署や税理士にご確認ください。
2割特例:現在、免税事業者については、インボイスを登録して課税事業者になった消費税を納付する必要が出てきた場合、受け取った消費税の内20%を納付すれば良い、という方向になっていますが、まだ、現段階では決定ではありません。
免税事業者が課税事業者(インボイス登録・未登録)になる場合のパターン
(相手先が一般課税)
注意
支払消費税の代わりに受取消費税に一定割合を掛けたものを仕入れ(支払消費税)とみなして計算されます。
免税事業者が免税事業者のままでいると?
今までの報酬が変わらなければ手取りの報酬は今まで通りですが、取引先が一般課税の事業者の場合、前述の通り、取引先の負担が増えます。よって、金銭的に負担をしたくない取引先だと価格の交渉をされたり、インボイス登録のお願いをされる可能性が出てきます。
お願いをされたとしてもインボイス登録をしなければいけない訳ではありません。登録するかしないかは免税事業者次第になります。
押さえておきたいポイント
フリーランスや個人事業主の免税事業者
簡易課税を選択している事業者も、事業規模の拡大などにより、簡易課税が使えなくなることもあるのでご注意ください。
補足説明
免税事業者
課税期間(個人事業主は1〜12月、法人は期首から決算月まで)の売上が1,000万以下の事業者
課税事業者
課税期間(個人事業主は1〜12月、法人は期首から決算月まで)の売上が1,000万円を超える事業者
一般(原則)課税と簡易課税の2種類あります。
課税事業者(一般課税選択)
2期前の年間売上1,000万円を超えている事業者で一般課税を選択しているか、若しくは、年間売上(複数店舗経営している場合は全店舗の合計)が5,000万円を超える事業者
課税事業者(簡易課税選択)
2期前の年間売上1,000万円を超えている事業者で年間売上(複数店舗経営している場合は全店舗の合計)が5,000万円以下で簡易課税を選択している事業者。業種により異なりますが40〜90%のみなし仕入率で消費税の納付額を算出します。また、1事業者が複数事業区分を営業している場合は、事業区分ごとにみなし仕入率で計算するか、低いみなし仕入率で計算する必要があります。詳しくは、国税庁ホームページ(No.6505 簡易課税制度)をご覧ください。
一度選択すると、支払消費税が受取消費税を超えても(一般課税の場合では、消費税の支払いは無い状況でも)2年間(決算期2期分)は変更できないので、一定の消費税の支払いが発生します。また、簡易課税をやめる場合、変更可能になる決算期(最短で3期目)が始まる前日までに、忘れずに自分で変更手続きをする必要があります。
みなし仕入率
簡易課税を選択した際の消費税の算出方法です。売上に対する一定割合を仕入れ額とみなすことで、簡易的に消費税額を算出する方法になります。一定割合について、事業形態により第1種から第6種までの6つの事業区分に対しみなし仕入率が40%〜90%に設定されています。「みなし仕入率」について、詳しくは、国税庁ホームページ(No.6509 簡易課税制度の事業区分)をご覧いただくか、管轄の税務署や税理士等にご確認ください。
みなし仕入率の使い方
支払った消費税とみなす額(A)=売上の受取消費税額(B)×みなし仕入率
納税額=受取消費税額(B)-支払消費税額(A)
仕入税額控除
売上に係る消費税額から仕入れ等に係る消費税を差し引くことです。
2割特例
インボイス登録をしたことで課税事業者になった小規模事業者(免税事業者が課税事業者となり、免税事業者であるメリットを受けられなくなった事業者)に対する経過措置で2023年10月1日〜2026年9月30日までの属する各課税期間において、課税標準額(例えば、売上額)に対する消費税額の2割を納付すること。