スタッフを雇用している個人事業主役員報酬を受け取る1人社長
顧問税理士等がついていないまたは関与が薄い事業者
0492024年6月給与【支払い】から対応が必要な定額減税
定額減税とは...
対象者1名に対して、所得税30,000円、住民税10,000円を減税するというものです。
さて、2024年6月から始まっている定額減税の対応の準備はできてますでしょうか?
例えば、給与や役員報酬の支払いが月末締め、翌月15日払いの場合は6月15日の給与支払いから対応が必要になるので『知らなかった💦』という事業者の方は早急に定額減税についてどんなものか把握しましょう。
小規模法人の方、数社に『定額減税』について『6月1日以降、対象者の給与計算が今までと変わるの知ってる?』と聞いてみたところ、こんな回答をいただきました。
- 顧問税理士から話を聞いていて、対応方法を知ってるが、「面倒なことさせるよねー」とおっしゃっていました。
- 『定額減税』は税理士さんからお話を聞いて、顧問税理士さんに給与計算をお願いしている。
- 顧問税理士はいるが、そのような話は聞いてないから分からない、初めて知った😱(税理士さんとの関与具合は不明)
- 給与計算は自分でやっているが初めて知った😱
- 何か変わるのは知っているが、詳しくはよく分からない😢
とばらつきがありました。
そこで、対象者だけど知らない・分からない事業者の方も結構いらっしゃったので、今回記事にしました。
定額減税について初めて知った・よく分からない事業者の給与計算担当者の方向けに6月の給与支払い※にあたり事務で何をすれば良いかをまとめます。
※この記事は6月の給与支払いについて記載していますが、賞与の支払い時も減税の計算をします。例えば、6月15日がボーナス支給日、6月25日が通常の給与支払日というケースでは、6月15日のボーナス支給日が最初の定額減税計算の対象になります。
所得税の減税をどういう手順で進めたら良いかについて記載します。
①対象者の把握
6月支払い分の給与計算で定額減税の事務処理をする対象者は誰かを割り出します。
- 国内に居住している
- 6月1日時点で在籍している
- 6月に給与(役員報酬)や賞与の支払いを受ける
- 合計所得金額が1,805万円以下
- 令和6年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出し、源泉徴収税を『甲』で控除する
- など
②対象者の定額減税の金額算出
単身、同一生計配偶者や扶養親族の有無、人数で定額減税の金額が変わります。
- 令和6年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出してもらった方には提出時と変更がないか確認します。(手っ取り早い方法の1つです)
- 令和6年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出したけど変更がある方には急いで下記の書類に記入して提出してもらうようお願いします。
令和6年分 源泉徴収に係る定額減税のための申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書
③通常通りの給与計算
基本給や手当などから、社会保険や源泉徴収税額など控除額を計算し、支給額を算出します。
④システム設定の確認
給与計算システムを使っている場合は設定を確認し、必要に応じて対象者の設定を変更します。
⑤③で算出した源泉徴収税から定額減税の額を控除
- 給与計算システムを使っている場合、自動で計算されていることがあるので数字のチェックします。
- ③で算出された源泉徴収税額より定額減税額が多ければ6月の源泉徴収税は0円になります。
- 例えば、源泉徴収税が5,000円、定額減税が30,000円だとした場合、6月の源泉徴収税は0円で残りの25,000円は賞与や7月以降の源泉徴収税額から控除できます。
⑥各人別控除事績簿で管理
義務ではないので事業規模や必要に応じて対応します。
国税庁ホームページにテンプレートがあります。
各人別控除事績簿とは、定額減税対象者の定額減税の残額を管理する帳簿のことです。
- 国税庁ホームページの各人別控除事績簿テンプレート:各人別控除事績簿
⑦給与明細書に記載する税額の項目
源泉徴収税額の他、減税金額、減税適用後の源泉徴収税額がいくらか給与明細に記載する義務があります。
通常の給与計算と違うポイント
- 給与計算のシステムを使っている場合は自動で計算されていることがあります。
- 例えば、通常の給与計算で源泉徴収税額Aが5,000円、定額減税が30,000円だとした場合、6月の源泉徴収税は0円になります。給与明細に記載するものは、
- 通常の給与計算時も記載する源泉徴収税額A:5,000円
- 減税分B:5,000円
- 今回、源泉徴収する金額:A-B=0円
⑧6月の給与(役員報酬)支払い住民税は控除しない
通常の給与計算と違うポイント
- 7月から住民税を控除します。
- 対象者の住んでいる市区町村から事業者宛に届いたお知らせに記載の住民税を控除します。
ここから、気になっていることを国税庁電話相談センターに聞いてみたことをまとめました。
Q. 定額減税処理を年末調整で一気にできないか?
特に中小企業・小規模法人などにとっては事務負担が増えます。イコール事務コストも増えるわけです。そこで、毎月、定額減税処理をしないで、年末調整で一気にできないかと思い、問い合わせしました。
A. 年末調整で一気に対応するのはダメ、とのことでした。
Q. 罰則はあるか?
もし、給与明細書に規定の記載(前述⑦参照)をしなかった場合と定額減税の対応をしなかった場合の罰則について、問い合わせしました。
A. 今の所、罰則はない、とのことでしたが、罰則がないから対応しなくて良いわけではないので対応をお願いします、とのことでした。
Q. 定額減税の計算が間違ってしまった場合は?
A. 6月からの月次処理で定額減税の計算が間違ってしまった場合、最終的に年末調整で数字があえば良い、とのことでした。
給与計算する担当者にとっては事務負担は増えますが、定額減税の対象者にちゃんと対応しないと源泉徴収税が減税できるものができなかった・・・😢と損した気分になりモチベーションの低下にもつながるかもしれません。中小企業・小規模法人・スタッフを雇用している個人事業主にとっては事務負担だらけですが、対応できるように進めていきましょう。
どうしても事務が間に合わなかったら、対象者が不安に感じないように説明するなどの対応が必要になってくると思います。結論
定額減税の対象者がいる事業者は6月の給与・賞与支払いなどから減税の処理が必要になります。まだ、定額減税について『知らない』『よく分からない』状態の給与計算担当者の方は早急に対応できるように準備をしましょう。