電子帳簿保存法の運用を始めたけど、送り状がよく分からない事業者
税理士
会計士
043電子取引の「送り状」って何?
電子帳簿保存法の電子取引の義務化開始まであと約3週間となりました。準備は順調ですか?
曖昧な点もありとても分かりにくい部分があったり、税理士・会計士の先生においてはお客様に聞かれてもどう答えて良いか分からず、困っている、というケースもあるのではないでしょうか?
「電子取引で送り状って何?????」と思った方もいらっしゃると思います。
私もその1人です。なので、調べました。
問い合わせを受けてくださった担当者も実際、改めて聞かれたらよく分かっていない、煮え切らない回答ということもありました。
しかし、これだと、私たち事業者はどう対応したら良いか分からない、税理士さんはお客様にどう案内したら良いか分からないと思うので調べた内容をまとめます。
ちょっとその前に...
- 電子取引は、電子帳簿保存法の区分の1つです。
- 電子取引とは簡単にいうとデータで取引情報を送ったり受け取ったりすることです。
- 2024年1月1日から要件を満たした状態で電子的な取引情報の保存が義務付けられます。
- 取引情報の1つに「送り状」や送り状に準ずる書類に通常記載される事項があります。
つまり、電子的な取引した送り状に該当するものは義務化の対象となり、一定の要件を満たした状態で保存しておいてください、ということです。※
※まだ、義務化の電子取引の準備が間に合ってないない事業者においては、本来は一定の要件を満たしてデータの保存をする必要があるけど、ひとまず電子取引に該当するものはデータがなくならないように保存してください、と言う旨の情報が国税庁のページに出ています。
送り状と一言で言っても事業者によってどういうものを送り状と定義するかは変わります。
例えば、メールでpdfファイルを添付して見積書や請求書、領収書を送る時に「いつもお世話になっております。◯月分の後請求書をお送りさせていただきますので御査収のほど、よろしくお願い申し上げます。」的な文章を添えて送信する際の文章を「送り状」と呼ぶケースもあるでしょう。
荷物の運送の伝票(お届け先、依頼者や追跡番号の記載など)のことを送り状といえば、「あ、分かる、分かる」となるのではないでしょうか。
「物品を送る時に使う運送会社の伝票のことを指します。」と言われることが多々ありました。
お届け先や依頼主などを記載する伝票のことです。伝票と言っても紙に書いて荷物に貼り付けるケースはそもそも電子取引ではありません。
スマホ等で伝票作成し、キャッシュレス決済してサービスを利用する、というようなケースは電子取引に該当します。
「“物品の流れ”が分かるものが該当します。」と言われることもありました。
例えば、ECサイト利用時に発送通知メールが届くケースが多いですがそのようなものが該当します。
どんなもの(商品など)をいつ、誰にいくつ(数量など)送ったか分かるような書類等も保存の対象になるようです。
メールや、SNSのメッセージアプリなどを利用してPDFデータの請求書(インボイス)、見積書などを送ったり、受け取ったりする際、書類データの他に「お世話になっております。請求書を送りますのでよろしくお願いします。」と言うような文言も一緒に添えられていた場合、基本的には書類データのみの保存で良いです。しかし、メールやメッセージの文言に「お世話になっております。請求書を送りますので◯年◯月◯日までに◯◯円のお支払いをお願いします。」のように...
取引に関わる情報(支払い期限、取引金額など)が入っていると書類データだけでなくメールなどを本文のまま保存しておく、とか画面キャプチャー(スクリーンショット)して保存する必要があります。
このような場合は、PDFデータで取引に関する必要事項が記載しているならメールなどの本文には取引に関する文言は入れない方がお互いの手間が省けると思います。取引先と今まではこうだったけど、来年からこうしましょう!と話してみるのも良いかもしれないですね。
結論
送り状の定義はなく、いまいちはっきりせず、事業者は実務上どこまで対応したら良いのか正確には分かりません。現実的ではないかもしれませんが、保存対象か迷ったら、電子的な取引についてはひとまず電子取引の義務化開始後は取引に関するデータは全部とっておけば安心でしょう。