忙しい税理士・会計士
インボイスを必要とする事業者
個人アカウントでECモールで購入し、立替精算をするスタッフ
041経費精算・立替支払いする担当者が知っておきたいECモール利用時の注意点
この記事は一般(原則・本則)課税で消費税の計算をし、経費になるものを個人のアカウントで楽天市場やYahoo!ショッピングなどのECモールで立替で購入し、後から経費精算をする、というようなフローがある方が知っておくと便利な内容になっています。
- ① 基準期間の売上規模が1億円以上の事業者
- ② 基準期間の売上規模が1億円以下(少額特例が使える対象)の事業者が税込1万円以上※の買物をするケース
※税込1万円以上とは 複数の買い物をした場合、合計金額が税込1万円以上かどうかです。
経理の現場からするとできればインボイスに統一してくれると事務の負担が減るんだけどな。。。一応、社内で必要事項については関連スタッフとも運用についてのシェアもしたんだけど、たった数回説明しただけじゃ分からない、というのも理解できる。私たちもよく分かってない部分あるし..
営業や企画担当などインボイスの情報をシェアされたスタッフからすると、めんどくせえな、そんなことどうでも良くない!?細かいことまで気にしてられないし、そっちまで気にしてたら本来の業務に影響出ますけど??
それぞれの立場でこんな感じになっていませんか??
本題に入る前に、個人アカウントでECモールで購入して精算するケースは下記の状況ではないでしょうか。
- 決裁権がある(予算内で自由にプロジェクトを進められる、など)
- 地方在住でリアル店舗に買い物に行くのが現実的ではない
- リアル店舗に買い物に行くよりすぐに発送してくれるECモールを使えば発送期間を考慮しても目的に叶う買物ができる
- ECモールの方が良さそうなものがある
など、何かしら使う理由があると思います。
更に、同じ商品、同じ価格帯、発送日数、なども全く同じであれば最後の決定打は「インボイスの発行ができるかどうか」になってくるのではないでしょうか。
インボイス制度開始後に、実際に楽天とYahoo!ショッピングを使ってみた時の状況を紹介しますので、少しでも事業者の皆様のお役に立てると幸いです。(10月初旬に利用した時の情報です。)
楽天市場では購入前に適格請求書(インボイス)の発行対応可能か不可か確認できるショップもあります。また、特にショップのページには記載がない(購入前にショップページでは分からない)けど、インボイス発行してくれるケースもあります。
見分けるポイントはショップのページから「会社概要」を確認すると『購入履歴から適格請求書発行』対応可能かどうか確認できます。
実際に使ってみると、購入履歴からインボイス番号の入った領収書がダウンロードできました。
個人のアカウントで購入しても「宛名」は会社名で発行することもできました。
※ショップにより変わるかもしれないのであくまで一例として参考にしてください。
Yahoo!ショッピングでは10店舗くらい調べてみましたが、私が確認した限り、購入前にインボイスが発行可能かどうか記載されているお店は見当たりませんでした。
実際に購入してみたところ、通常の領収書をダウンロードしてもインボイスではありませんでしたが、インボイスが必要な場合はストアに依頼するようコメントがありました。果たして、購入後、注文履歴のお問い合わせからインボイス発行依頼をすると、「請求書」でインボイスが送られてきました。
注文履歴より発行できる領収書をインボイス対応する改修があるようです。詳しくは、Yahoo!ショッピングのお知らせをご覧ください。
注文時、個人アカウントを使っていても、ご請求先を「その他住所を入力」の選択をし、会社名、会社住所にすると会社名でのインボイスが発行可能でした。ちなみに、会社名を入れる際、「お名前」の欄に入力しますが、姓・名分けて、それぞれ全角50文字以内の入力になるようなので姓に株式会社と記入して名に会社名を入力する、など使用時、工夫が必要です。もし、個人アカウントのまま注文確定すると個人宛てのインボイスでした。社内の運用にもよりますが、「仕入税額控除の適用を受ける」にフォーカスすると経費精算や経理に一手間増えるかもしれません。
では、Yahoo!ショッピングを利用するにあたって、購入してみないとインボイス発行可能か不可か分からないのか?と思うかもしれませんが確認方法はあります。
① 購入決定のタイミングまで時間の余裕のある場合は、購入前にストアに確認してみましょう。
② ストアに問い合わせて返信を待つ時間がない場合は、購入候補のお店が「法人」であれば手っ取り早く知る方法があります。
確認方法
ストアページの「会社概要」を確認し、会社名(商号)を確認する。→株式会社や合同会社のように「法人」か確認します。→法人番号を調べます。→適格請求書発行事業者公表サイトでインボイス登録されているか調べます。→登録確認後購入することができます。
Yahoo!ショッピングのインボイス制度対応はヘルプ内にご案内がありますので、ご確認ください。
Yahoo!ショッピングヘルプ
個人(事業主)が出品しているケースではインボイス登録の有無を調べようと思うと膨大な時間がかかります。というか、ほぼ、現実的ではありません。潔く全額仕入税額控除は諦め、80%控除で対応をすることが結果的に一番少ない損失になると思います。
出品者情報を調べて法人の場合は適格請求書発行事業者公表サイトでインボイス登録されているか調べる方法はYahoo!ショッピングに限らず、他のECなどでも購入前にインボイス発行可能か調べることができます。
ついでになりますが、宿泊で出張をする際、楽天トラベルはインボイス対応の宿泊施設に絞って検索することもできるようですし、宿泊施設のページに進み、施設紹介→詳細情報をみると「領収書発行」の部分で確認できます。
2024年1月1日以降は電子帳簿保存法の「電子取引」の義務化が始まるので、本記事に加えて、インボイス関係書類をデータでやり取りした(電子取引の)場合については、電子帳簿保存法の要件まで考慮し、対応していく必要があります。
[ECモール利用時の注意点]まとめ
- 購入前にインボイス発行可能か確認できるモールは確認する。
- ショップページやオンライン上で確認できず、問い合わせる時間があるなら問い合わせる。
- ショップが「法人」なら法人番号を調べてインボイスの発行ができる場合は、購入する。
- インボイスは、可能なら個人宛ではなく「会社名」などで発行してもらう
- 社内で情報をシェアする(ここのEC宛名法人名で発行してくれるよー!など)
確認方法
国税庁 適格請求書発行事業者公表サイト、 国税庁 法人番号公表サイト