[電子帳簿保存法]
記事の対象者:見積書の電子取引がある個人事業主
中小企業の経営者、経理担当者
電子取引の準備をしている全事業者
中小企業の経営者、経理担当者
電子取引の準備をしている全事業者
017電子的に取引した見積書の対応について
更新2024年1月10日
どうすれば良いか分からず困っている事業者が多いようで、実はこの記事、とてもアクセスが多いんです。
そこで、継続調査をしていますので、随時、調査結果を更新しています。
本記事の執筆時点では、見積書の取り扱いについての明確な記載がなく、現状では、税務署や国税局電話相談センターに問い合わせしても答えていただける人によって、見解が分かれています。税務署側でも見解の統一がされていないようなので、見積書の取り扱いについては、状況が変わりましたら、順次、本記事を更新していきますので、チェックしていただければと思います。
もし、すぐに対応する必要がある場合は、管轄の税務署にお問い合わせいただいて、個別案件について、具体的な方法をご相談されるのが良いと思います。
さて、すでに電子取引に対応されている事業者、これから電子取引(電子帳簿保存法)の対応準備をしようとしている事業者の皆様のなかで、こんな疑問はありませんか?
お客様(取引先など)と電子的に取引した(Eメールなどで送ったり受け取ったりした)見積書は全部とっておく必要があるのか?
例えば、ホームページの制作を依頼しようとした場合、自分でWEBやSNSなどで検索して、いくつかピックアップし、その中で気になったところに見積もり依頼をしますよね?
問い合わせフォーム、Eメール、SNSのDMなどで問い合わせをすると、見積書をPDFファイルで送られてきたり、DMやEメール本文に金額が入っている。ということもあるかと思います。
これらは『電子取引』に該当し、データで保存しておく義務があるものになるのですが、ここからが今回の本題!
見積りって、「見積書をもらっても契約に至らず、不要になるもの」と「契約に至るもの」があるかと思います。電子取引に該当するからといって見積書をぜ〜んぶとっておくとなると、取引量によっては膨大なゴミを保存するためにストレージ(Disk)容量を使うことになり、お金も手間もかかります。
なので、私、気になったので調べてみました!
以下の内容で問い合わせをしました。
電子取引した見積書について、契約に至らないものも保存する、とも書いてないし、最終的に契約に至らない見積書は帳簿にものらないですが、全ての見積書を保存する必要はあるのですか?
以下、問い合わせについての概要と結果について、簡単にまとめます。
- ①2022年7月から10月にかけて日を改めて合計3回それぞれ別の方に問い合わせたところ、「契約に至ったものについては変更があった見積書も最初から最後まで全部とっておいてね。契約に至らないものは不要ですよ。」とのことでした。
- ②2023年2月から3月にかけて日を改めて合計7回、国税局電話相談センターに問い合わせしたところ、
- 電子的な方法で受け取った見積書は契約に至っていないものも全て保存しておいて 4件
- 契約に至った見積書だけで良いですよ 2件
- 具体的に明記されてないのではっきりお答えできない 1件
- ③2023年12月、国税庁ホームページのお問い合わせの多いご質問(令和5年12月)電子取引関係の追1に見積書の取り扱いについて最新情報が出ました。
- ④国税庁のホームページの記載では、見積書で保存しなくても良いものがどういうものか分かったけど、契約に至った見積書だけ保存しておけば良いのかどうかについて、不明確だったので、12月下旬から2024年1月9日にかけて聞いてみた結果、次のような回答でした。
- 保存の必要がない、と記載されている範囲に該当する見積書は保存不要 6件
- 確定した見積書のみの保存で良い 2件
- 基本的には契約に至った見積書については変更の過程も含む最初から最後まで全て保存しておいて 4件
- 事業の検討段階で作成された、正式な見積書前の粗々なものは具体的にどの程度を指すか定義がないので記載してあること以上は分からない。はっきりした回答ができずにすみません。 4件
- 保存不要か必要か迷ったり、心配なら全て保存しておいた方が安心 3件
「全てとっておいてね」という理由としては、
- 法人税法施行規則67条に記載してある
- 電子取引とは電子的な取引情報を保存することで送った側も受け取った側も保存する義務がある
とのことでした。特に契約に至らない見積書は保存しなくて良い、と言う明記もないので保存しておいてね、と言うことでした。
「契約に至った見積書だけで良いですよ」という理由としては、
- 契約に至った見積書は、帳簿にも記入されているのでもちろん見積書の途中経過も含め全て保存しておく必要がある
- 契約に至らないものはお金の流れは発生せず、帳簿にも記入されないので見積書の期限などを確認して事業者的に不要なら保存しなくても良い(事業者の都合により保存しておいても良い)
とのことでした。
つまり、明確な記載がなく、現状では、聞く人によって見解が分かれています。
この件については、本格的な運用開始後、お問い合わせの多いご質問等に追加されるのではないかと思います。
2024年1月10日時点での結論
- ①見積書(本文に金額、見積り期限が入っているEメールやDM含む)は契約に至ったものは最初から最後まで全て保存
- ②契約に至らなかった見積書は聞く人によって見解が分かれているので保存しておいた方が良い
- ③連絡ミスによる誤りや単純な書き損じ等があるもの、事業の検討段階で作成された、正式な見積書前の粗々なもの、取引を希望する会社から一方的に送られてくる見積書などは保存の必要はない
- ④保存不要の範囲に該当するか迷ったり心配なら全て保存しておく